大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和35(オ)1065 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人玉田郁生、同林忠康の上告理由第一点について。

所論は、原判決の認定は、上告人所有の釜石市大字a第b地割c番字d山林一町

五反一畝二〇歩(以下c番山林と略称する。)の存在を全く否定し去る不合理を犯

すものであり、原審が被上告人所有の同市同大字ef番のg保安林一町四反二畝歩

(以下f番山林と略称する。)と右c番山林とが相隣接して存在していることを当

然の審理の基礎としてきたことと矛盾するものであつて、即ち原判決は審理不尽理

由不備の違法を犯すものであるという。しかし、f番山林とc番山林とが相隣接し

て存在することは、原審において認定していないところであり、原判決は、挙示の

証拠に基づいて、所論B地域山林が被上告人所有のf番山林の一部に属することを

認定しているのであつて、右認定は首肯できるから、所論違法は存しない。論旨は

採用できない。

同第二点について。

所論は、原判決が、一方においてf番山林とc番山林とが相隣接することを判断

の前提とし、他方において右両山林が相隣接していないことを判示しているのみな

らず、所論B地域山林がc番山林にあたらないとの理由から直ちに右B地域山林を

被上告人の所有に属するものと認定したのは、理由そご理由不備の違法があるとい

う。しかし、f番山林とc番山林とが相隣接するか否かについては原判決のなんら

触れるところでないことは、前記のとおりであるのみならず、原判決は、挙示の証

拠に基づき、積極的にB地域山林が被上告人所有のf番山林の一部に属することを

認定しているのであつて、右認定は首肯できるから、所論違法は存しない。論旨は

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採用できない。

同第三点について。

所論の要旨は結局、原審の事実認定、証拠の取捨判断が経験則に違反すると非難

するにあるところ、原判決は、挙示の証拠に基づいて、所論B地域山林が被上告人

所有のf番山林の一部であることを認定した上、反対証拠について、これを措信で

きずまたこれを以てしても右認定を覆えし難い事由を逐一説明しているのであつて、

右判断ならびに説明はすべて首肯でき、なんら経験則に反するものといえず、その

他論旨は独自の見解に立脚して原判決の事実認定判断を非難するに過ぎないから、

理由がない。

同第四点について。

所論は、原判決の損害賠償請求を認容した部分は、誤つた所有権の認定を前提と

するものであるから、違法であるというが、所有権の認定について誤りがないこと

前記説示のとおりであるから、所論は前提を欠くものであつて、理由がない。

上告代理人渡辺大司、同太田幸作の上告理由第一点について。

所論はるる述べるが、そのいうところは結局、原判決が人証のみを以て事実認定

の資料に供し、また所論B地域山林がいわゆる魚つき保安林として好適であるとの

一事にとらわれて、これに合致しない証拠をすべて排斥し、客観的な事実を顧みな

いで事実認定を誤つた採証法則違反、経験則違反を犯し、ひいては憲法二九条に違

反するものであるというに帰する。しかし、所論人証の外、挙示の証拠に基づいて、

B地域山林が被上告人所有のf番山林の一部に属するとした原審の事実認定は、首

肯し得べく、右認定はなんら経験則に反するものといえないことは、上告代理人玉

田郁生、同林忠康の上告理由第三点について述べたところと同一であり、従つて違

憲の主張はその前提を欠くに帰するから、所論は理由がない。

同第二点について。

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所論は、本訴はB地域山林が被上告人の所有に属することの確認請求および上告

人が右山林の立木所有権を侵害したことを不法行為とする金三五四、一三〇円五六

銭の損害賠償請求の両者を含むものであるところ、本件控訴状には右所有権確認部

分の訴訟物の価額金一五○、○○○円に対応する額の印紙しか貼用されていないか

ら、本件控訴状は却下されるべきであるのに、原審が本件控訴を認容したのは民訴

二三条二二八条に違反したものであるという。しかし、被上告人が当裁判所の補正

命令に応じて印紙の不足額を追貼したことが記録上明らかであり、右のように訴訟

書類の貼用印紙に不足があつた場合において、その不足額が上級審において追貼さ

れれば、その瑕疵が補正されてその書類は当初に遡つて有効となるものと解すべき

ことは、昭和二九年(オ)第八五八号、昭和三一年四月一〇日当裁判所第三小法廷

判決の趣旨に照して明らかなところであり、従つて所論は前提を欠くに帰するから

理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 池 田 克

裁判官 河 村 大 助

裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

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